セ・サ・ミ 日記

−2000年10月−


2000.10.30

『東京アンダーワールド』は血の熱い男達の戦後ドキュメント。闇
市から現在。政治と金融とやくざの世界。米人ロバート・ホワイティ
ングは六本木ピザ屋ニコラを縦糸にドラマチックに日本経済の構造を
暴き立ててくれる。力道山。児玉誉士夫。田中角栄。闇社会に顔をき
かしたからこその魔力。上場企業の極道ぶりもなかなか。もっと抉れ。


2000.10.21

大感激!大象にしてはじめての大傑作と小躍り。信楽で前回釉掛け
しておいた抹茶茶碗が焼き上がった。ふだん自宅での釉薬は既成の
陶芸材料店のものだが、今回のは五月に穴窯で焼いた時の赤松の灰
から作ったもの。フカイ。暗褐色の奥行きのある窯変がとてつもな
く自然のふところ深い魅力をよびさましてくれた。初心者ならでは。


2000.10.20

おもろい雑誌『大阪人』の11月号特集は<みやげは大阪流>。み
やげの語源三説を神崎宣武氏が紹介。屯倉(みくら)説は朝廷献上
品名産の倉庫。御饗(みあえ)説は宴会。宮笥(みやけ)説はお宮
さんの器で、お供えのおさがりを分ける。なるほど宮笥説は説得力
がある。せやけど冷凍たこ焼きが大阪名物なってしもたらあかんで。


2000.10.18

産経新聞「最前線ビジネストレンド」は胡麻。脇役から主役の座に。
味の素<ごまのポタージュ>、ハウス<黒ごまのソフトクッキー>、
キューピー<深煎りごまドレッシング>、日清<ゴマ入りチキンラー
メン>など大手が健康と美容をうたい文句にどっと胡麻を目玉に商
品開発。明治創業老舗乾物店も脚光、と和田萬がドアップ写真入り。


2000.10.16

<マルコ・ポーロの心意気>と上野晃富史さんを日経流通新聞が大
きく紹介。和菓子材料の柏の葉やヨモギの加工を中国のとんでもな
い奥地に進出。入浴しない、食器も洗わない農民の習慣を変えてい
くことから始まる事業。たしかに冒険魂。茶道仲間でもある彼はま
だ40歳か。いつも飄々として自慢話などしたことがないニクイ奴。


2000.10.14

『インビジブル』は淫靡じぶるな想像範囲内なので、その枠外を期
待してスパイク・ジョーンズ監督『ジョンマルコビッチの穴』。両
方とも簡単にいえば変身願望か。実在の俳優の脳に15分だけ潜り
込めるというアイデア。ハリウッドコメディになりそうだが、潜在
欲求露見の心理学的展開のウルトラひねり。技が冴えるが着地失敗。


2000.10.12

ミヤコ蝶々死亡。たまたま一緒に飲んでいた放送関係の知人が蝶々
さんにインタビューしたことがあって話が盛り上がった。抹殺した
過去も含めて芸人の人生は魅力がある。女芸人でくくると(蝶々さ
んは文句をいってきそうだし、そこがもひとつ好かんとこなんだが)
吾妻ひなこ、かしまし娘、千里万里が好き。鶴太郎は蝶々に似てる。


2000.10.09

奈良と三重の農家を訪問。国内金胡麻栽培を検討する目的。この時
期大地の空気はうまい。Tさんは脱サラ10年。荒地の開墾からス
タート。農業はもちろんだが、ログハウス村建設などこれからの展
開の夢はでっかい。Hさんは二代目。早くから本格的有機栽培に取
組んでこれからの農業を見据えている。秋天映して澄んだ目の男達。


2000.10.08

『白洲正子の世界』展を見にMIHO−MUSEUMに。仰天。展
示品ではなく、美術館に。信楽には頻繁に土いじりに行くが、関西
でもこの美術館の存在は殆ど知られていない。壮大な建築、世界の
古代美術品の貴重な蒐集。桁外れ。母体は某宗教団体。MOA美術
館しかり。宗教にたよらねば美術流出を守れない日本ってまるで変。


2000.10.05

五輪後の食句塾。伏兎「一秒に千のかけひき秋の夜」はオリンピッ
ク連想もよし、恋愛心理戦の読みも。「栗荷満つ天津港の朝まだき」
一計。キオスクでもむき栗が大ヒット。勿論中国で人海戦術。「毬
栗の空室あります秋の虫」磯菜。下句弱い。ストレスに病む現代病
をひきだした「七日経ち鶏頭の茎切り落とす」央里布がこれ一番に。


2000.10.03

桃雪亭歌仙秋編。春の雪、夏の秘湯と場の設定だけは歌仙にふさわ
しく、色なき風ふきはじめたる頃、恥知らずにも三巻目に入る。プ
リュミエ・クリュ級のブルゴーニュがバンバンあいて、ルーベンス
の『バッカスの饗宴』のあきれはてた堕落の従者シレノスさながら
の酩酊状況。これだから歌仙はやめられない。朦朧として初折表裏。


2000.10.02

『野薔薇のカルテ』大塚ミユキの第一歌集。倦怠、嫉妬、焦燥、死
といったテーマが甘やかな舌ざわりと濃密な香しさでやわらかにく
るむように迫ってくるしたたかなテクニシャン。「夏果てる遊泳禁
止区域まで水のひそかなふるまいを見に」「宵の鹿ねむるかたへに
とらはれの仁王はいまだ門をくぐらず」。猛毒口に甘し、女は怖し。


2000.10.01

京都「ルーベンスとその時代展」、大阪「堂本印象の世界展」はし
ご。さあごらんあれルーベンス工房から生みだされるこの豪奢な世
界を、とこすからい絵画商人に案内されてるよう。堂本印象は初期
の牛の作品の大ファン。後年の抽象への変遷では襖絵を依頼する寺
院側も大いなる決断だから、常時公開してイメージチェンジを是非。


ご意見、ご感想など info@wadaman.com 大象までお送りいただけるとうれしいです。