セ・サ・ミ 日記

−2001年04月−


2001.04.24

30年以上交信のなかった幼なじみの学友からメールが。最後に
「西天満小学校の近くに『なにわ翁』という蕎麦屋はおいしいぞ」
の情報。さすればちょっとの間に有名になったよう。息子さんが山
梨の『翁』で修行して変身した店。骨董画廊街にあってセンス良し。
翁系は優等生的で面白みに欠けるがここは合格。土曜は田舎も打つ。


2001.04.22

穴窯2回目の挑戦。今回は15品。木の葉皿。白っぽい部分に焦げ
が虫食いの朽ち葉のようになって大傑作?四方皿もビロードのたま
りが成功。全体として火色がきれいにあがっていたが先生としては
最後の温度の上がり不足が反省材料とか。個展の展示用にと俳句を
詠んで風炉先に書いたり。窯出しは興奮もするし、いろんな遊びが。


2001.04.19

花山椒を食べる。春一瞬。ちょっと構える。酒は春鹿にする。箸の
先にちょんちょん。ああ、もう一年たったのか。筍にのせて一口。
杯がすすむ。丁度自家製の蕗味噌があるので筍に交互にのせてみる。
花山椒はやっぱりちょっともったいない。そういうと「けちねえ」
と東京人に言われた。天満、長池昆布の『花山椒』をちょんちょん。


2001.04.17

タコヤキストの熊谷真菜さんが『ふりかけ』を出版。京大人文研の
流れを汲む現代風俗研究会出身らしく、一見おふざけ風にみせて食
文化を広範に囲い込みよく調べ上げてある。「のりたま」は「チキ
ンラーメン」と並んで世代を括れる文化といえる点でやはり偉大だ。
胡麻の章ではわだまんが取材に応じていますのでご購読をよろしく。


2001.04.15

小林信彦『おかしな男 渥美清』は評伝というより凄みのある肖像
画。例えれば岸田劉生の『麗子像』のようなぞっとする怖さがある。
渥美はじめ、フランキー堺、寛美、伴淳、ハナ肇、萩本欽一等喜劇
人の心理をクールに観察する視線が潔く、小林信彦を今まで読まな
かったことを深く後悔。渥美清の修羅を思うと寅さんが観たくなる。


2001.04.14

食友、豚々氏から京都の堀りたての筍をどっさり頂戴する。蕗の薹、
土筆もそうだが、春の大地のかすかなえぐみが嬉しい。そら豆と筍
のグラタン。菜の花とあさりと筍のスパゲティ。相性抜群。さらに
超おすすめの一品を発見。筍とルッコラを生ハムで巻くだけ。大好
きなムルソーがあれば文句なしだけど、チリの1000円ワインで。


2001.04.13

つまらない『羊たちの沈黙』の続編『ハンニバル』なんて。と思い
つつ『エイリアン』『ブレード・ランナー』の監督リドリー・スコッ
トならば。建築美の都フィレンツェを舞台に刑事とレスター博士の
展開は荘厳さに残虐味をミキシングして男の色香さえ漂う。脳味噌
ディナーもFBI上司の個性で美味。J・ムーアだけミスキャスト。


2001.04.08

『メイプルソープ』の伝記が出た。ワイルド、ビアズレー、コクトー
と並べてもその欲望への耽溺ぶりが過剰。ここまでストレートに堕
落と栄達を貪欲に指向したアーチストを知らない。私生活と作品は
イコール。過剰が猥雑な氾濫に終わらず、完全なる美の瞬間は氷の
静謐。モデルの実像を知ることで4冊の写真集が急に分厚くなった。


2001.04.05

また新人<創宣>参加で15人の食句塾。2時間半では限度満杯。
「夫を煮た缶詰を開け友雲雀」磯菜。格闘技さながらのハングリー
精神。妙芽「缶づめの桃が恋しい微熱かな」の軽いエロティシズム
を評価されるも作者はただの病気と否定。「花冷えにラーメン二杯
無言劇」菜摘より「春陰や缶切り握る台所」釈阿のドラマで食句賞。


2001.04.02

『セラフィタ氏』は歌人藤原龍一郎と詩人柴田千晶の連作「交歓」
と題された第1作。「東電OL殺人事件」に刺激された詩集『空室』
からはじまった短詩異種ジャンル交歓。極めて同時代的に広がる都
市荒野の細胞に最初は小さな泡のつぶつぶがふつふつと増殖してゆ
く。短歌31音が意味ではなくイメージの核として有機連鎖を孕む。


2001.04.01

夜桜はあまた流星の光をためこんで息づくようにふくらんだり、引
き締まったりしている。花冷えがきつく、氷雨が光を包む。中村歌
右衛門がその青白い光の芯を抱きかかえながら桜から異界へ飛び去
っていった。このすばらしき異形の者を文化の中枢に掲げ、陶酔へ
誘う<まことの花>と想う日本のこころは誇らしい。全てあやかし。


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