セ・サ・ミ 日記  
1998.10.29 シシャモが食べたい。突然思う。アイヌのスス・ハム<柳の葉>が語源。神の魚ともいわれる。川でなく、秋の天空からキラキラと光をおびて降ってくるよう。<子持ちシシャモ>と口にするのはたいていカラフトシシャモでカペリンという魚。本シシャモと脂ののりがちがうそうです。ならばこそ、旬の今、食べたい。
1998.10.28 大槻能楽堂で金春会<実盛>。シテは金春穂高。30歳台の若手の注目株。仕舞、謡の稽古を始めて1年の私の師匠でもある。眠らずに観終えたのは久しぶり。能は眠い。これにさからってはだめ。能のテーマはおおよそ<霊>であり<夢>である。さればこそ夢心地で接すれば自ずと交感し合えるのだ。いい理屈でしょ。
1998.10.25 奈良三昧。新公会堂で金春流の能舞台<蟻通>。歩いてすぐの<正倉院展>へ。かけあしで県立美術館の<バーナードリーチと富本憲吉>。腹もへるなりと、某そば屋へ向かう途中、偶然にも酒蔵<春鹿>の前へ。せっかくだからここでしか買えぬ酒を、と立ち寄ったところ、ご当主登場。酌めども尽きぬ酒話。古都満喫。
1998.10.24 日本伝統工芸展に。今年の3月から陶芸をはじめたこともあって、毎年漠然と覗いていただけのこの展覧会も、おおいに刺激。わが陶芸教室の北野勝彦先生も連続入選で備前面取壷が堂々と。ちなみに茶道仲間の岸本圭司君は2年連続漆芸部門入選が今年は落選。来年は是非。彼の作ったお椀でのむ毎朝の味噌汁うまし。
1998.10.21 十月は<酒の月>。酒造りは十月から始まる。<酉>の字は酒を表し、十二支の十番目にあたることから十月が酒の月となったそうです。ワインブームのおかげで日本酒もまたおいしくなってうれしい限り。近畿圏のお気に入りは、奈良の<春鹿>、滋賀の<松の司>。能勢の<秋鹿>もよし。鹿と酒とは相性がいいか。
1998.10.20 <人間の精子数は過去半世紀で半減した>。デンマークの学会発表以来、急に注目をあつめている<環境ホルモン>。内分泌撹乱物質のことをさすのだが、このネーミング、どうもイメージが結べず違和感がいつまでたってもとれない。人類にとって最も危機感をもって取り組むべき問題もこの名前のおかげで、焦点ボケ。
1998.10.17 <勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし>野村監督のまさに名言。ヤクルトをやめて阪神就任するかどうかが17日現在注目の的。長島監督に唯一対抗できる濃ゆーいキャラクター。おとぼけ顔も昔は藤山寛美とそっくりといわれたもので、関西にはまりそう。あの奥さんに食われないのもさすがというべし。
1998.10.14 不況のなか、収益見通しを上方修正した元気な企業。アルミサッシのトステム。藤沢薬品。村田製作所。安藤建設。お茶の伊藤園。ドリンク市場も数年前まではコーヒー、コーラ。ウーロン茶がでて、いつのまにか日本茶チャチャ。いつも飲んでるものがほしい。ちょっとだけおいしいものがほしい。だけ。そこがミソ。
1998.10.13 家田荘子<AV男優>。この業界のルポものとしては、数年前に足立倫行氏のものがあって実にAVに疎い私といたしましては啓蒙されるものが多々ありました。今をさる20年以上前、日活ロマンポルノの撮影所経験があるだけにこの世界、興味しんしんで早速読了。マニヤックな性意識の進展ぶりに、うーーんまいった。
1998.10.12 傑作泥棒。イタリア駐在の日本商社マンが乗用車を盗まれたが、数日後戻ってきた。手紙に<妹の結婚式にどうしても高級車が必要になり無断で拝借。おわびにスカラ座のチケットを同封しました。お許し下さい>駐在員一家がスカラ座に出かけ、帰ってみると家具がみんな消えていたんだって。高岸弘さんのエッセイ集。
1998.10.9 越後から新米をいただきました。光ってます。立ってます。おおぶりのお茶碗に山盛りによそります。いただきます。ああ、にっぽんの秋だ。送って下さったのは新潟の白玉粉メーカーの渡英商店。気候の変化より、味覚の変化で秋を実感。秋から冬へ渡英さんのお餅をわだまんでも販売します。お米で餅味ちがいます。
1998.10.8 歌麿、北斎らの肉筆浮世絵コレクション約400点がニュヨークのオークションにかけられるそうです。所有者の麻布グループがバブル崩壊で経営破綻。手放した結果、日本国内の美術館やコレクターはお金がなくて海外流出ということらしい。海外作品を億単位で購入したバブル馬鹿者企業が交換してでも買ってやれ。
1998.10.1 第2回たべもの句会。兼題さんま<父の箸 秋刀魚みごとに解体す>南本氏が票を集めてにっこり。席題は雨、鰯雲の2題。30分で作句。全くの初心者の方も即座に4句つくる余裕が。河合氏<鰯雲 ネクタイ淡き柄を選る>好評を得るも<一ミリの十分の一を雨がゆく>三好氏の作が今回のこれ一本に。秋雨やまず。