セ・サ・ミ 日記

−1999年5月−


1999.05.29

腎移植後」のホームページ。短歌の仲間、塚田哲史さん自身の実
録。1994年に腎移植手術、その後の経過報告である。臓器移植
は、難病治療はもちろんだが近未来の脳移植まで、根本から人類を
問う重大テーマだ。彼は「aqua」という個人誌で10年以上にわた
り民族学的な歌謡と方言の収集を続行中。両ページのぞく価値あり。


1999.05.28

週間新潮6月3日号、新句歌歳時記のコーナー。宗因「その葉さへ
実さへかうばし梅の雨」。坪内稔典「青梅雨や松江の友が来つつあ
り」。摂津幸彦「国家よりワタクシ大事さくらんぼ」。和田大象
「レム睡眠さまたげられしうしみつの電話をとればファックスのピー」。

掲載されているとは全く知らず、友人からのファックスでびっくり。


1999.05.27

「さくら」の語源を初めて知った。「さ」は稲田の神霊、「くら」
は神霊の座。桜の樹には稲の神様が隠れすんでいるという。今年の
春は妙に桜が気になって、星からの光が吸引されるスポットにも思
えたり、とにかく霊的なものを感じていた。古来、霊的な故にさく
らと名付けられたといわれると、納得。でも「万葉集」最多は、萩。


1999.05.22

トキの人工孵化成功。ひなが卵に殻を破る「はし打ち」が始まった。
闇に命が誕生し、己のまだ柔らかな嘴で外界への殻を破らんとする。
ひびから陽光が射し込み、黒から紅、朱、白色へ変じていくベール
を脱いで、生命体が世界を認知する様は感動的だ。「ニッポニア・
ニッポン」の学名は変。まして日本産は絶滅で、中国産孵化なんて。


1999.05.20

「強くて淋しい男たち」永沢光雄。スポーツ選手へのインタビュー
物。野球の金村、プロレスの木村、ら人選が泣かせる。「AV女優」
「風俗の人たち」このライターの作品は三冊目。おもろうてやがて
かなしき。くうぃくうぃ。すべてポルノ雑誌に連載したものという
のがいい。血走った男たちの目と手を休ませるのはどんなに困難か。


1999.05.17

「おもいッきりテレビ」きょうのテーマは「ゴマあえの健康効果」。
みのもんたがしゃべれば、スーパーから商品が一気になくなってし
まうという神話はやや薄れたが、現にごま業界は「あるある大辞典」
の放送以来、需要は急拡大。テレビさまさま。といっても世界的に
時代が健康志向の流れになったというのが真相。テレビは時代の鏡。


1999.05.15

『歌壇』6月号「平成の名歌集12」の特集で弟子が選ぶ師の秀歌
という企画。どういうわけか私も恥かきの原稿をのせている。内容
はさておき、ちょうど短歌集団「かばん」の15周年記念号が届い
て面白かった。「かばん」は師をもたないグループでパワー全開中。
吉本の若手漫才もそのようだ。師弟とは芸道永遠のテーマではある。


1999.05.12

「ゴマが肝臓ガード」日経新聞。ゴマにふくまれているセサミンと
いう成分が肝臓の細胞を有害な活性酸素から守っている仕組みが解
明された、と大きく新聞で紹介されています。漠然と「ごまはから
だにいいんだって」「髪の毛が黒くなるみたい」程度のいわれかた
をしてきましたがメカニズムとして立証。酒のつまみは胡麻和えを。


1999.05.09

P句会。詩人、歌人、俳人、入り乱れてのバトル句会。罵倒句会?
京都修学院近く、関西セミナーハウスの能舞台を借りての7時間。
「予知能力少女の唇をふさぐ枇杷」魚村。「烏賊捌いてぽかりと開
く夏の海」図子。「地に寝るや酔夜はげしく傘といる」萩原。「罪
人を三枚に捌く金魚かな」矢板。どうも全員悪戦苦闘。大象ダウン。


1999.05.07

わだまんの通販がJCBオンラインで支払いできるようになりまし
た。カード番号の秘密保持機能をつけてあるので安心です。HPの
リンクもふやしました。食品販売だけでなく、ワイン会や句会で出
会ったおもしろい仲間のページともつながるようにしていきます。
注文だけでなく時々は寄り道をして、ついでに情報をいれて下さい。


1999.05.06

食の俳句塾、今回より会の名前を『ショック塾』。食の句をテーマ
とするいやしんぼ句会だが、常に新鮮なショックをかけて。5月の
兼題「そら豆」席題「川」。「法話するそら豆寂聴ぬっくりと」磯
菜のユーモア。「雨はれて鮎釣るかげや川太し」翠胡の描写。一番
は「さり気なき家系の自慢柏もち」増湖。男の節句に軍配。ご不満?


1999.05.05

「百人一書」鈴木史楼。書などというものにとんと興味はなく、悪
筆を笑われても気もとめない私だが、おやっと思いだした。うまい、
へたの基準などもとよりないが、気持ちのいい、悪いはありそうだ。
万事ワープロですませるのはもちろんだが、たまには筆で気持ちの
いいこともしたい。荻生そらい、良寛、高浜虚子が私の選んだ三筆。


1999.05.04

「なんて き・れ・い なんて不思議」釉薬の表現と陶芸美をテー
マにした展示を見に信楽まで。器の味わいは、それぞれあって決め
つけはできないが、くすりがけの摩訶不思議な世界もたまらない魅
力だ。オリジナルの薬開発への緻密な苦闘があって、しかも最後は
火と土にまかせるしかないという見えざる手への段階がエロチック。


1999.05.03

抜水政人彫刻展。わかりやすくいうと、ボテロ風のふくよかでユー
モラスな人物像の巨大なオブジェ。素材は銅板。2年前、京都の山
上アート村のイベントで初めて会って以来、秘かなファンである。
難解派のアートもおもしろがってみればそれぞれ味があるが、彼の
作品は、単純に幸福になってしまうかわいいトリックがあるようだ。


1999.05.02

近藤達子『空耳飛行』「美女の胴真二つにして継がぬまま町から町
へゆく魔術団」。河野洋子『恋恋風塵』「残塁のまま終りたる草野
球二度逢つたきりあなたは来ない」。ふたりとも、もとは同じ結社
にいた仲間。第一歌集、おめでとう。歌集を出版することは歌の創
作の助走線上にあるジャンプ台をバーンと踏み込んだようなものだ。


1999.05.01

篠山紀信写真展「萬野美術」。萬野コレクションの古美術を屋外撮
影。真剣勝負の気迫が凄い。応挙や宗達の巨大な闇に鎮座する作品
を光のもとへ。絵画の中の滝や花野を同次元に連れ戻し異種格闘技
させてしまう美の眩暈。展示方法も意表をつく。神聖化された古美
術品が大きな篠山写真に隠されている。のぞきこんでこそ神髄あり。


ご意見、ご感想など info@wadaman.com 大象までお送りいただけるとうれしいです。