セ・サ・ミ 日記

−1999年7月−


1999.07.31

久々に「そば打ちの会」。夏場はそば打ちにとって最悪のシーズン。
夏はざるそばのシーズンでそばが美味しいと思い違いしている人も
いるが、秋の香り高い新そばがでるまで、夏はがまんがまん。だか
ら、真っ白なさらしな粉でごま切り、けし切りなどの変わりそばを
練習する。素人そば打ちの方、ごま切りのごまはわだまんでどうぞ。


1999.07.23

岩崎永人個展「 THE BRAIN OF FERN 」。美術展に足を運ぶのは、あ
らかじめ興味があっていくのだが、戎橋のキリンプラザは待ち合わ
せの時間潰し。だからいつも面白い。流木を集めてきて人体に再生
させた作品群は、いつか私の脳の湖の底深く沈みこんでいたが、偶
然また時間潰しの今日再会できた。平面作品もふくめて、ドキドキ。


1999.07.22

天神薪能「船弁慶」。空中庭園のある新梅田シテイはいわば未来都
市の貌をした空間で能には抜群の設定。篝火を映すガラスの壁面に
そって高層ビルの先から夜空をみあげれば、いつか地球滅亡の後に
も宇宙の果てで能が演じ続けられるであろう錯覚を楽しむことがで
きた。未来も過去も幽玄であれば現在が幽玄の極であってもいいか。


1999.07.20

黙阿弥作の「幡随長兵衛」。松竹座7月大歌舞伎は団十郎、八十助。
劇中劇も含めた三幕仕立の構成がすっきり。役者も余計なストーリー
をひっぱらず、歌舞伎の醍醐味がいっぱい。これは、原作の力?関
西歌舞伎を愛する会の公演の趣旨であろうか、竹本連中、清元連中
と踊りの構成はぞくぞくするおもしろさ、歌舞伎の鍵はここにある。


1999.07.18

げにさまざまの舞姫や。「高砂」の仕舞。奈良東大寺新公会堂能舞
台での発表会も4回目の経験。能は大和猿楽からだが、わたしの舞
は猿回し。世阿弥は「風姿花伝」で年齢その時々の花を語っている
が、未熟でも少年の舞には瞬間はっとする光が交叉する。つい昨日
ある先輩に「能は抽象ですね」といわれ、急にわかりやすくなった。


1999.07.15

「象窯」で初作品完成、ばんざーい!!北野勝彦先生の陶芸教室に
参加していたが、忙しくて月に2回も通えず、一つの作品完成まで
に日数のかかること。ならばと自宅に電気窯を購入。今日が初めて
の窯開き。ああ、感激。他人が見たら完全な失敗作でも、自分には
いとおしいもの。茶碗と皿を抱きしめながら今夜は寝ます。ふふふ。


1999.07.11

唐津焼の西岡小十さんが金沢で土を発見、その地に「辰ノ口窯」を
開き、加賀唐津の初個展。土はまるで唐津、むしろねばりとのびが
あるという。土が小十さんを呼んだのかも。パールの発色や青光り
の窯変など変化に富んでいて、茶碗も洒脱。書がまた軽妙で人柄が
そのまま。なんと60歳で初めて窯を開いたとか。82歳意気揚々。


1999.07.10

週間新潮「新句歌歳時記」。山本健吉氏のあと多田道太郎氏が引き
続いて担当されている名物コーナー。発売中の7月15日号に「日
本の聖なるどつぼおほさかもなんやせからしもつとあそばな」。私
の拙歌が掲載されている。どういう具合か、ここ続けて3回目の掲
載。いつもかかりつけの医者の待ち時間に読んでいたので妙な気分。


1999.07.09

わだまんのホームページを見た、といって彦根からいきなり男が現
れた。話を聞くと、新しい和菓子作りにロマンを燃やす好青年。ま
ず原材料をひとつひとつ吟味しなおす美味しい食材探しで、金ごま
に興味を持ったらしい。従来なら問屋という流通経路を通して、限
られた情報とコネしかなかった。菓子屋は「香宝」。嬉しい出会い。


1999.07.07

大槻能楽堂で「殺生石」を。舞台に石の作り物があり、前シテが石
の後ろで装束を替え割れた石の中から、狐になった後シテが出てく
るのが見どころ。先月、那須で現物の殺生石を見た。想像以上に殺
気を孕んでいたので、舞台も膨らんで見えた。ちなみに「芝居」の
語源は、寺の境内で舞台を組み薪能を芝生の上で鑑賞したことから。


1999.07.02

「鱧」兼題のショック塾。「少年の梅かじる青きうれいよ」増湖。
「摘みたての恋文きらら花辞典」伏兎。なんたって鱧は上方、鱧づ
くし。「天満には鱧と祭と食句塾」一計がまず決めて「おとし鱧赤
絵の盃を干し終えて」翆胡でごくり「きかぬ気や鱧喰う女に重なり
し」央里布のエグさにさらに「俎上にてなお骨切らる鱧の業」水無。


1999.07.01

「絶対音頭」詩人VS芸人、声のパフォーマンス。河内音頭の菊水
丸に対抗、萩原健次郎の真情あふるる暴力性、上田假奈代の骨太な
可憐、有馬敲の飄々たる風刺。文字の詩を超えて快調。菊水丸も芸
人の色気があって好きだが、イラン、朝鮮と世界駆けめぐる「新聞
詠み」のキレが今一。音頭に挑戦した詩人もすれちがいバトルの感。


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