セ・サ・ミ 日記

−1999年11月−


1999.11.28

花村満月原作、望月六郎監督となればムズムズとして「皆月」。ダ
メ人間達のなまなましい暴力と迫力のセックスだが、おとこもおん
なも哀しくて実にいい。いつも女がうすくて皆なウスウスの北野武
映画とは一線を画す出来。義弟アキラの北村一義とほんの短い出演
の荻野目慶子が抜群。「噛んで、姉ちゃん」のシーンには心底感動。


1999.11.27

あまから手帖11月号特集「そば新時代」は最近開店した関西エリ
アを紹介。黒姫の藤岡、山梨の翁、島田の宮本などはるばるその1
盛りを求めて出向いたが、やはり近くにあって気の向いたときさっ
と、というのがそばのそば。この6月、ほん近くに本格派「なにわ
翁」。北新地の「紀行」は「とき」に変わったが、センスいいそば。


1999.11.26

「ごまでなおそう、ハゲ白髪」のタイトルにひっかかったか、野村
證券での私の講演会は定員100人をはるかに越える大盛況。深謝。
夏にもJCBで胡麻のセミナーをさせていただいたが、5年前なら
胡麻というテーマでお客様を呼ぶ企画など考えられなかった。『買
ってはいけない』云々より、単純においしくて体にいいもの食べよ。


1999.11.24

熊本の白玉粉メーカー白玉屋新三郎が『白玉物語』出版。一般の方
から募集した白玉にまつわる随筆集で、社長自身が撮影した四季の
風景写真と構成されている。「ふるさとの食文化を語り伝えること
も生業のひとつ」との述志が気持ちよい。胡麻にまつわるエッセイ
募集してもむつかしいなあ。白玉は胡麻よりエロティックだもんね。


1999.11.23

胡麻を扱っているからか中国には近しい印象があり、中国の恋人に
頻繁に会いにいく友人もいる。莫邦富の『蛇頭』を読んであらため
てこの国の 21世紀世界に与える影響に思い及んだ。中国各地の都会
をさまよい職を探し歩く「盲流」は明日の国際盲流の予備軍。時間、
空間両面から巨視的視点でみれば、中国はどうも難儀なやっちゃな。


1999.11.21

恐怖体験。新大阪駅の構内で一瞬女性と眼が合った。それだけのこ
と。時間潰しの雑誌を買ってお釣をもらう瞬間、視界にその女性の
コートの影が過った。なぜか不吉な予感。ブラブラついてくる影。
人をかわしたら、その人と女性がぶつかりなにか口ぎたないののし
りあいが発生している。突如始まった理不尽なダッシュと追っかけ。


1999.11.19

本日、歌仙を巻き終わった。最近続けて、詩人の萩原健次郎さんの
捌でメール歌仙。顔つきあわせて徹夜の即日歌仙、ファックス歌仙
などやってきたが、メール歌仙は段取がいい。メンバーも全く面識
の無いまま、ごく自然に展開できる。形式としては、同じ発句を、
詩人チームと歌人俳人の定型チームで巻きくらべたのは面白かった。


1999.11.14

短歌「玲瓏」全国大会。当日は、金春流仕舞の発表会とのバッティ
ング。佐々木幸綱氏がメインゲスト。早稲田の先輩にもあたるのだ
が、この日が初めて。元ラガー迫力の面構えの巨漢と思い込んでい
たが、以外にも普通サイズ。これも男歌の作風のなせる技。小黒世
茂「歌壇賞」、楠見朋彦「すばる文学賞」ともにこれから大爆発を。


1999.11.13

アート・アンサンブル・オブ・シカゴのレスター・ボウイが死亡。
マイルスやコルトレーンよりあのころは「苦悩の人々」や「アーバ
ン・ブッシュマン」ばかり聴いていた。いつも無性に暑い部屋だっ
たような記憶は何故?第一歌集『禊ぞ夏の』のあとがきにもシカゴ
のことに触れているが、朱夏とよべるある時期の暑い記憶に重なる。


1999.11.10

大阪市が10月に「クラフトパーク」を作った。できたばっかりの
第1期というのは気持ちいいだろう、と陶芸に通っている。ここの
オススメは、ガラス部門の充実、金工、木工、染色部門の設置。金
工か吹きガラスに興味があったが、手を広げてばっかりでなにもか
も初心者のまま上達しない悪い癖があるので断念。第2期募集開始。


1999.11.09

『るるぶ』の取材がきた。大阪八百八橋、橋のたもとの老舗の人か
ら橋にまつわるエピソードを聞こう、という企画。わだまんは天神
橋の北詰。40年前は、前の大川岸でごまを天日乾燥していた。店
の番頭さん小僧さん達が、仕事の終わった夕方、シャワーがわりに
川へとびこんだ。夕陽に泳いでるシーンが映画のように甦ってくる。


1999.11.03

「横丁にはソースと葱と招き猫」伏兎のねぎ焼の句で大阪十三あた
りの雰囲気をたのしみつつのショック塾。今年ほど秋のない無骨な
季節があっただろうか。それでも「ふりむけば木犀金の笑みこぼす」
菜摘。朝晩は一気に冬。空気が張り詰めてくるのを膚で確認するの
も心地よい。「押しピンの音鮮明に固い冬」磯菜の着眼に一番決定。


1999.11.02

57年「ル・モンラシェ」メゾン・ドゥデ・ノーダンが手にはいっ
たからとのお誘い。半世紀もの初体験。ホストはロブションのレシ
ピを横においての手料理。「デカンタに蝋燭の火の怪しくも髭のソ
ムリエぴくりたじろぐ」色は黄金を経て、まさに異界からの荘厳な
光をたたえ。「まぼろしの鬱金桜を見にゆかな艶は儚とワイン傾け」


1999.11.01

そらすごいでボリショイ見てきてん。サーカスかいな。ちゃうちゃ
うバレエやがな。なぜかこんなお決まりの前フリをしないと気恥ず
かしい。ケン・ラッセルの「ヴァレンチノ」、赤江瀑の「ニジンス
キーの手」でバレエは興味深々だが、このワシーリエフ演出「ジゼ
ル」全2幕の印象は優美さのみ。16頭身プリマはマッチ棒拡大寸。


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