セ・サ・ミ 日記

−1999年12月−


1999.12.29

年末の市場は楽しい。一番近い天満卸市場へ。野菜売り場も最近は
珍しいものが多い。中国の大根で外はふつうなのに切ると真っ赤。
そして鮮やかな緑の種類も。うれしくてすぐ買う。ついでにおせち
用のちょろぎ。形がかわいい。昆布屋では竜皮昆布を。白身の魚と
かさねて巻いて使います。トリュフもあったけど安い中国産でパス。


1999.12.26

大島渚監督復帰作『御法度』は病後の体力不足。ラスト「化け物が
すみついたか」とビートたけしの一刀で倒れ落ちる桜の樹も紙芝居
のようにうすっぺら。テーマと放出エネルギーのバランスが一致し
ないとただ退屈。衆道と男たちの社会組織を描くならプロデュース
だけで。近藤勇役の崔洋一、目ン玉の揺れは衆道への動揺の名演技?


1999.12.25

おいしい蕎麦屋『ぐあん』大発見。大阪都島に8月開店。まだ客も
わずか。ご主人は近県の某有名割烹の出。今もそこで石臼でそば粉
を引いている。狭いカウンターのなかで蕎麦打ちするので、いなが
らにして見学できるのもうれしい。あまからに紹介された N、新そ
ば読本のG、Dより上。今後の期待度も大。誰にも言ってはいけない。


1999.12.24

『ぼっけえ、きょうてえ』は怪談の傑作。ホラー小説大賞受賞作。
ミステリーでもこのジャンル、大騒ぎしても読んでガッカリ。敬遠
していたがこれは大当たり。間引き産婆の屎糞地獄が聖性を帯びて
くる語り口も見事なら、最後まで来てあらためて導入の伏線に感服、
短編構成の醍醐味。表題は、とても怖い、の岡山弁。ああおとろし。


1999.12.23

宮下裕史氏の『新そば読本』は5年ぶり。旧版のこの本でそばに開
眼した。単なるそば屋番付ではない。ひとりひとりそば打ち職人の
姿勢をさぐり、食文化としてのそば最前線のルポルタージュである。
関西店でいえば私には?もあるが。考えてみれば料理のジャンルで
ここ10年そばが一番進化した。同時に安直な脱サラそば屋も跋扈。


1999.12.19

デヴィッド・フィンチャー監督『ファイト・クラブ』は1900年
代のラストに相応しい大傑作。文明が精神心理にもたらした破壊衝
動とマゾの病理を血と汗の粘液質映像テクニックで。殴りあうゲー
ムから男たちを組織するプロセスも、オウムがサリン製造可能な擬
似国家を作っていた日本では既に現実のこと。カリスマ渇望の裏表。


1999.12.12

『末』と1999年を象徴する一字が決定。清水寺、森貫主が筆を
おろす年末の恒例。遡ると、毒、倒、食、震。似たような企画で流
行語大賞がある。今年は『リベンジ』ほか雑草魂、ブッチホン、と
か。こうしたマスコミの時代総括と個人的感慨とが毎年大きくずれ
ていく。括りから洩れていくものの方に興味が惹かれるからだろう。


1999.12.11

甥の結婚式。1時間前、さあ着替えましょうとズボンをはいたら、
なんと10センチ以上しまらない。たしか1年前姪の結婚式の時は
きついきついといいつつ無理やりにでもはいた。なにがなんでも、
でも腹にも限度。結局あきらめて、上は礼服、下はつんつるてんの
仕事着で式場へ。青年の輝かしい旅立ちからは遥か中年のあわれよ。


1999.12.10

やっと手にはいった『字通』。2万円に気後れしていたところ知人
が古本屋さんなら新本でも安くでるというのでお願いしていた。同
訓異字の項目が便利。たとえば「たのしい」で楽、愉、娯、悦など
26。エクスタシー、神をたのしませる、魂の安らぎ、酒、凱旋・
・。漢字を選ぶのに迷う時がままある。釉薬を選ぶこころに似てる。


1999.12.05

エノテカの試飲会。今回は、CH.ANGELUS CH.COS D'ESTOURNEL 
CH.PICHON LALANDE の3シャトウ。ピションラランドは前からお気
に入りだが85年改めて脱帽。75年は舞台から降りた老女優の感
あり。コスの86年文句なし。アンジェリュスはブーケが華やかだ
が比べるときついかな。記憶に無いがメモに、97年ベガスとあり。


1999.12.02

ショック塾らしく納めの句会はお好み焼き屋『道』でハフハフしな
がら。兼題が「ふぐ」ならてっちりで句会してもよさそうなのに予
算がない悲しさ。「ふぐ鍋や熟年どもの明日も無事」央理布が妙な
説得力で注目集めるが「フグ喰らう荒俣宏の毒と知恵」で正逆含め
進境著しい弥華藍の「N2つ叩き未来に”ん”ひろがれり」が一番。


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