週刊新潮2000年7月20日号
新句歌歳時記(多田道太郎)」より

誰か為そ朝起昼寝夕涼

其  角
    誰のためでもありません。現代人なら、自
    分のため、健康のためと言うでしょう。これ
    で饅でも食べれば上々。七月二十二日は大暑。
    「五元集」。

素見(ひやか)しが買うはめになり植木市

小寺 勇
    ほおずきからねむの木まで、大阪の夏の夜
    店ではふだんはまず売れないものがならんで
    いる。ほほう、珍しいなと手にとってみた
    が最後。「小寺勇句集」(昭六十、八幡船社)。

幽霊を季題と思ひ寝てしまふ

三橋敏雄
    幽霊会社や幽霊株は今や死語。会社や株は
    みんな怪しげな情報技術音頭でおどる幽霊み
    たいになってしまったから。いっそ「季題」
    にしてしまったらどう。初出、第三句集「鷓
    鴣」(昭五十四)。再収、花神コレクション(平
    四、花神社)。

容赦なき夏の終わりの一餉には
胡麻の香きつくして棒棒鶏(バンバンジー)

和田大象
    和田流の棒棒鶏は鶏肉をゴマ油でいため、
    それにゴマだれをたっぷりかける。ゴマ屋さ
    んのCMみたいだが、夏の健康食はこれにか
    ぎる、牛乳を飲むよりも。「くらはんか」(平
    十、北冬舎)。

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