大阪という街は個別のインパクトが強すぎて
美しい風景や街の名建築の遠望が利きにくい所だった。
たとえば、グリコのおっちゃんはすぐにイメージできても、
あの表側すぐ向かいは名所・松竹座の正面であることに気づかず
大阪を去る人は多い。
また、人形浄瑠璃のお人形さんの表情は記憶していても、
国立文楽劇場が日本を代表する世界的建築家の手になる名建築で、
正面からのシルエットは実に美しい。しかしこれも、すぐ眼の前が
阪神高速の高架で視界を遮り、おそろしく風情がそがれていて、
まったく遠望が利かない。ゆえによって、名建築と気づく人も少なく
「場所の記憶」も遠ざかるばかり。
おそらくこのようなことが大阪を短絡的におとしめる一因になっている。
いわく「美の無い都市」と・・
「写メ」で撮った写真が友達から友達へと「口コミ」で世界中を飛び交う世の中、
すなわち観光交流の時代には、これは実にもったいないことだ。
と、考えていたら、ちかごろの繁昌亭はとても写真うつりが素晴らしくて
うれしくなってくる。朝陽に映える繁昌亭(繁昌亭の正面バックが
ちょうど真東で特に春、屋根瓦が朝陽に映える風景がいい)。
一番太鼓が鳴り響く昼の玄関付近。午後の茫洋とした正面あたり。
夕刻、西陽が射す頃のけだるさ。さして夜、パッと灯がともり一転して
華やかな表情となる繁昌亭、そのどれもがいい。
それになにより、折節を選んで噺家さんたちが繰り広げる季節と一対になった
活気がうれしい。アメリカのケツばっかり追いかけてるもんやから、
近頃のニッポンではすっかり見ることもなくなった日常の中の「ハレの気配」、
これがまた男前や。
もっと、もっと遠慮せんと杵振り上げて、
どんどん場所の記憶をかきたててほしい。
写真映りのえぇ場所、繁昌亭だっせ!!
【ホクホクの 湯気の中にも 日本一】
【あっあの人 杵を振り上げ 三枝さん】 









小田切さん、村井さんありがとうございました。
